和ゆらり …「大人のための和ークショップ」〜わたしだけの贅沢時間〜


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ほぐれたからだとこころで着付けをもっと楽しむ

“心地よさ”を実感することが、着付けの上達の近道

今回、和ークショップに講師として参加されたきっかけは何ですか?

共通の知人から浅井さんを紹介してもらい、浅井さんが私の主宰するお芝居を観にきてくださいました。そのとき私が、浅井さんに“ひと目ぼれ”したんです(笑)。

それから私のワークショップに浅井さんがいらして、『プルプル船』(*)を体験され、ぜひ『和ゆらり』でも、ということで今回お話をいただきました。

*『プルプル船』については和—クショップレポートと当インタビューの下記をご参照ください!


明神さんからご覧になった、和ークショップの感想は?

みなさんあっという間に仲良くなって、それぞれの魅力を発揮してらっしゃいましたね。

女性が自分の美しさに気づき、ほぐれてゆくのをみるのが何よりうれしいです。みなさんいい汗をかかれていて、色気が漂っていました。和—クショップでは、着付けがメインでしたが、私が自身でおこなっているワークショップの「動き編」では、“エロエロエクササイズ”も満載です。機会があればぜひそちらもどうぞ(笑)。


和ークショップに参加された人たちに一番知ってもらいたかったことは?

からだがほぐれると、浴衣がぴたっと吸いつくのを敏感に感じられます。その快感は、着付けの順番やコツを頭で覚えるだけでは、味わえない感覚です。

うつむきがちだったり、肩に力が入った状態では、着物や浴衣がからだになじんではくれません。からだがゼリーのようにやわらかいと、肌に吸いついてくる感覚がわかるようになるんです。気持ちいい感覚をからだで覚えるほうが、着付けは上達すると思います。

着付けの前に、ストレッチ体操『プルプル船』

そこで『プルプル船』の登場ですね?

そうですね。でも、『プルプル船』は、からだをほぐすためだけのものではないんですよ。たとえば、人に触れるということを恥ずかしく思う人も多いですよね。ですが、その照れはほぐれるためには邪魔になります。照れを減らすために、『プルプル船』ではみなさんに役(菓子職人役とゼリー役)になりきってもらいました。和ークショップの前半に行って恥ずかしさを減らすことで、これから同じ時間を過ごす人たちの中でリラックスしやすくなります。からだと同時にこころもほぐすことができるということです。


『プルプル船』について、もう少し詳しく教えていただけますか?

『プルプル船』では、菓子職人役がゼリー役のからだ全身を、仙骨を中心にゆっくりとゆらしてからだをゆるめます。ただ、からだをゆるめるだけでは、動いた時にいつものテンポに戻ってしまいますので、ゆるんだ後には、からだに“気”を通します。それをわたしは“蜜をかける”と言っています。

菓子職人役が、ゼリー役のつむじから足裏まで一気に“蜜をかける”ことで、上半身と下半身をつなぐことができ、ほぐれを保つことができるのです “蜜”は、シロップやお酒など、お好きな液体を選んでもらいます。

ゼリーになりきって、好きな“蜜”を頭からつま先まで浴びることを想像し、全身がひとつになることを感じることができるんです。

”蜜”をかけた後は、寝返りをうってもらいます。波に洗われる小瓶のように、外からの力半分、自分の力半分で転がります。仰向けに寝転がっていると、からだの重さによって、裏半身が床に吸いついてゆくのを感じます。この吸いつく感覚がわかるようになると、着物や浴衣が皮膚に吸いついてくる感覚も、わかるようになるんですね。

それから、起き上がる時は仙骨から起き上がることを意識してください。からだの中心から動けるようになると、呼吸が深くなり、優雅に見えるんです。頭や肩から起き上がると、肩に力が入ってしまい、着物や浴衣に余計な皺が入り、からだになじみません。

また、気持ちをことばにすることはとても大切ですので、ほぐし終わって起き上がったら、二人で心地よさを語り合います。語り合うことで、気付くことは多いと思います。 例えば、相手にゆるんでもらうには、自分がゆったりと構えていることが大切だということ。また、勇気はいるけれど、相手に身をゆだねるとお互いが気持ちよくなるということにも、気付けるのではないでしょうか。語り合うことでいろんな“気付き”があると、「自分も周りも気持ちよくなるように」という意識が生まれるので、不思議ですね。

花嫁が美しいのには、理由があります

浴衣を着ることを通して「周りも気持ちよく」するとは?

周りを気持ちよくするには、着物や浴衣がただ好きだから、ただ着たいから、という自分のためだけの気持ちではなく、周りが幸せになることを考えて着ることが大切なんです。その違いは見た目にも表れます。

たとえば、花嫁が美しいのは、周りに感謝する気持ちが全身からあふれているから。衣裳に負けていませんよね。

着物や浴衣は帯で締めたり、筒状なので大またで歩けなかったりします。洋服にくらべると何かと制約が多い衣服ですので、いうならば“ソフトSM”状態。だからこそ、自分の心根や呼吸が、着物や浴衣のラインや動きにダイレクトに表れると思います。周りに見られていることを引き受けて、深い呼吸でゆったりとした波紋を広げていただきたいものです。


最後に、明神さんにとってのゆらり時間とは?

“共感”、“共振”、“共鳴”しているときです。たとえば、お月様と歩くとき、鳥のさえずりに答えるとき、風に身を任せているとき、楽しいおしゃべりで時間を忘れるとき、異性と手をつないでいるとき……。いろいろありますね。



< 明 神 さ ん の お 気 に 入 り の 品 >



からだの軸を細くする「下駄」



「京都のomoという着物屋さんで、スタッフの方が履かれていた下駄です。自分のからだの軸を細くしたかったので『私も注文したい!』と言うと、オーナーがご自分の下駄を安く譲ってくださいました」(明神さん) 明神さんのユニークな人柄を物語るような面白い品。なんと歯が一本の天狗下駄・・・。 なお、すてきな水玉模様の鼻緒はomoさんのオリジナルだそうです。

レポート ◎ mio